孤狼の血 【柚月 裕子・角川文庫】魂ふるわす圧巻の警察小説

書籍紹介

  • タイトル:孤狼の血
  • 著者  :柚月 裕子
  • 出版社 :角川文庫

読もうと思ったきっかけ

何か面白そうな本がないかなと本屋をふらついてました。その時に平積みされていて帯に2018年5月12日に映画化!となっている本がありました。
そう、それがこの「孤狼の血」でした。どうやら昭和末期の広島を舞台とした警察とヤクザがテーマのようだ。こんなハードな内容は普段は読まないですが、映画化されるとあったので面白いのだろうと思い、手にしました。

概要

昭和63年、広島。所轄署の捜査二課に配属された新人の日岡は、ヤクザとの癒着を噂される刑事・大上とコンビを組むことに。飢えた狼のごとく強引に違法捜査を繰り返す大上に戸惑いながらも、日岡は仁義なき極道の男たちに挑んでいく。やがて金融会社社員失踪事件を皮切りに、暴力団同士の抗争が勃発。衝突を食い止めるため、大上が思いも寄らない大胆な秘策を打ち出すが……。正義とは何か。血湧き肉躍る、男たちの闘いが始まる。

~本書カバーから引用

感想

「あいつに因縁つけい」
日岡は目を見開いて大上をみた。警官が酔っ払いやチンピラから絡まれることはよくあるが、逆は聞いたことがない。

~P26から引用

はっきり言って大上さんの仕事っぷりは無茶苦茶です!しょっぱなからこんな発言ですよ!警察といえばお堅いイメージで規則を誰しもが守るイメージでしたが、さすがは暴力団係の班長です。規則破りまくりです。でも、大上さんの中には一本の大きな筋が通っています。自分の考えで上司であろうが、部下であろうが、暴力団であろうが、考えを突き通します。突き通しすぎます。読んでて気持ちがいい!
最近、こんな人はどこの世界にもはっきり言っていません。


日岡の発言で気持ちがよかったのはここ!

「わかっとります。本物の警察官の心得は、大上さんからみっちり仕込まれましたけ」

~P448から引用

日岡は広島出身、広島育ちにも関わらず標準語でしか話さなかったけど、ここは広島弁。
この場面を想像すると気持ちがすっきりします。実世界でこれを言える人は何人いるだろうか。

ところで、警察と暴力団ってこんな感じの関係なんでしょうか?実際のところどうなんだろう。まぁ一般人には知らなくてもいいことですね。
テーマが暴力団なんで聞きなれない用語も出てきますが、非常に読みやすく、一気読みでした。
正義って何だろう?決められたルールを守ることも大事ですが、組織で働く人もそうじゃない人もルール以上に自分の考え、信念をもって働くことは重要ですよね。またそういう人ってかっこいいですよね。いい先輩や上司に恵まれると後輩はその背中をみて勝手に育っていく。そんな血が受け継がれていく組織は強くなりますね。

次々にいろんな事件が勃発し、簡単に人が死んでいきます。やっぱりハードな内容ですので、読みながら想像して勝手に気持ち悪くなるところもありました。

最後に大上班長さん、タバコ吸いすぎです!禁煙中の身にはかなりつらい情景でした。

続編が出ました!凶犬の眼

評価

とても面白いです。おすすめです。
最後に欲を言えば、警察と暴力団がテーマで警察内部の情景は詳細な記述がありますが、暴力団側の内部のやりとりがあまりありません。抗争や捜査部分でもちろん暴力団は登場しますが、暴力団同士の会話が少ないように思いました。

映画では日岡の役を松坂桃李さんが演じます。大上の役は役所広司さんです。どんな演技になるのか楽しみです!

<追伸>
映画観ました!本書よりもグロい部分もあります。R15というか、R18でもよいくらいかと・・・豚の〇〇って生で食べれるんすね。おぇ。
もし、映画を見る予定の方は、映画を見る前に本書を読んでおくことをお勧めします。
おそらく映画だけでは登場人物や背景がわからず楽しめないのではないかと思います。

著者紹介

柚月裕子

1968年、岩手県出身。2008年『臨床真理』で第7回「このミステリーがすごい!」で大賞を受賞し、デビュー。2013年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞を、2016年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。他の著書に『最後の証人』『検事の使命』『アリの菜園-アントガーデン-』『パレートの誤算』『朽ちないサクラ』『ウツボカズラの甘い息』『あしたの君へ』『慈雨』『合理的にあり得ない 上水流涼子の解明』『盤上の向日葵』などがある。

~本書カバーから引用

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